ミルトンのように取り扱いコーヒー全てを産地に買付けしながら、販売しているコーヒー専門店は全国でも極少数なんです。お店の買付け担当が味がとれることが前提ですが、現地に行けば日本では流通していない、無名でも優秀な農家の豆が、しかも国際品評会受賞レベルのコーヒーが手に入るわけです。それでも日本のコーヒー専門店は自ら毎年買付けに行かないのはなぜでしょう。同じような欧米のコーヒー専門店や焙煎業者が、生産者と直接取り引きしながら、素晴らしいコーヒーを取扱っているにもかかわらずです。

理由はいくつか考えられますが、語学力、味をとるカッピング能力、貿易知識、異文化の人達とのビジネスマナーや交渉力、資金面などがだいたいの表面上の理由でしょう。こうした課題をクリアしててでも、口に入れるものだからこそ、こだわりを持ちたいと私は考えます。

私は異業種のサラリーマンから独立しましたが、起業するからには人に喜ばれ、人の役に立つような仕事をしたいと考えていました。一見アバウトな望みですが、継続的に産地に行き、素晴らしいコーヒーを探してくるという行動が、それを飲んで下さる皆さんにとっても、手をかけたものを割増価格で我々に販売できる農家さんにとっても、役に立てていると信じています。

さらに重要なのは、これらの行動を直接行うということです。輸入商社や中間業者を通せば通すほど、値段は上がりますし、何より誰かの役に立っている感覚がうすれてしまいます。この志を持ち続ける限り、私の芯はぶれることはありませんので、安心して私どものコーヒーを楽しんでください。