今回のオーナーレターは接客について思うところを綴ってみようと思います。 この十年間、実に様々なスタッフがミルトンで働いてくれましたが、お世辞にも定 着率が良いとは言えません。マニュアル化しないのも、見渡せば何処もかしこも 似たような接客をし、感情のこもっていない「いらっしゃいませ」を言われること に違和感を感じると同時に日本の「おもてなし」はもうほとんど目にすることは なく、日本が日本でなくなっていく気がしてしまうからです。

下手すると海外のホテルやお店の方がホスピタリティ教育ができていて、おもてなしに似た要素を含んだ接客をしています。私がアルバイトをしていた十代の頃、目配り、気配り、心配りを常にしなさいと居酒屋の従業員から指導してもらっていま した。この歳になって思えば、あれが「おもてなし」の根幹なのではないかと考えます。

スタッフには「常にお客様や相手の立場にたって行動する」それだけを指示していますが、それがなかなか難しいことのようです。自分がお客の立場では理解できることでも、いざ、お店側の立場になった途端に理解できなくなり、感情のない接客 になってしまうことはよくあります。

これは叱っても出来ることではありませんの で、様子を見ながら時折アドバイスを出しますが、目配り、気配り、心配りが頭 ら飛んでしまっていては、ミルトンの接客ができるわけがありません。 ミルトンにおいてのスタッフの定着率は、ここが大きく関係しています。 それができているスタッフは何をやらせてもレベルの高い仕事をしてくれます。 ミルトンでのおもてなしの後に、ご自宅で美味しいコーヒーを楽しめれば、どんな に気分が良いだろうといつも考えています。