二月のコロンビア買付けから始まり、三月のニ力ラグア、エルサルバドル、そして四月の アメリカ出張と次々とコーヒー生産国と消費国を巡ってきました。 特にアメリカ出張で は今からコーヒー業界全体が直面する様々な問題が討論会の中でも話し合われ、あと 「三十年後には、地球温暖化の影響で今の生産地ではコーヒーが栽培出来なくなるといった 研究結果が発表されました。

温暖化が害虫の数を増やし、コーヒーの木に悪影響を 及ぼす菌類も勢力を拡大するいっぽうですし、私が産地を訪問していても、その被害は 止む気配はありません。 コーヒーの木が病気にやられて全滅してしまった農園もありますが、ミルトンがお付き合いしている農園が運良く全滅を免れていると言っても いいでしょう。

例を挙げると、皆さんご存知のエルポルベニール農園主セルジオさんが所有するもう一つの 農園、力サブラン力農園のコーヒーの木が、今年にはいって原因不明の病気にかかり、収穫 目前だったにも関わらず、結果的に生産量が半分に減ってしまいました。 年収が半分に 落ち込んだと想像してみてください。 大変な事態です。

温暖化が招く変化は未経験な 事が多く、アメリカの討論会でも極めて深刻な案件として議題に上がっていました。 並行して、ここにきて我々が買付けしているような品質、風味が良いスペシャルティコーヒー が世界規模で人気を博してきています。 採れる量が少なくなっているのに、飲む人口が 増えているわけですから、当然供給不足になります。 温暖化対策は地球全体で取り組 むとして、最も避けたいのは良質なコーヒーが日本に入らなくなる事態です。

実は既に、日本は買い負けをしています。 理由はいくつかあります。 一つは日本の買付 けする企業の多くが、コマーシャルコーヒーを仕入れていた時と同じ、旧態依然のスピード 感と危機感で買付けていること。 そして良い品質のコーヒーに対して他国の積極的なバイ ヤーよりも低い金額を提示してしまうことも、買い負けの要因でしょう。

また、日本の企 業病とも言える、意思決定の遅さも起因しています。 一つの解決策としては、ミルトンのような小規模ロースターであったとしても、積極的に外 に出て、自分達の必要とする高品質なコーヒーを生産者達から購入することが必要でしょ うし、現に欧米の小規模ロースター達がそうして美味しいコーヒーを買付けています。

加えて、韓国や中国、台湾、マレーシアなど、アジア勢も積極的に買付けをしており、 日本勢はただ指をくわえて見ているわけにはいきません。 私に何ができるか、先を見据えて取り組めることは積極的に行動していこうと、ただ今計画中です。

皆さんに末永く美味しいコーヒーを飲んで頂きたいと強く思うと同時に、 微力かもしれないけど、少なくともミルトンのお客様には今後もトップクラスのコーヒーを。 ご提供し続けたいと、今も創業当時も変わらぬ気持ちでいることは間違いありません。