まず、二週間の研修期間を頂戴出来た事の感謝と共に、スタッフの産地訪問を一緒に 楽しみにしてくださったお客様にもお礼を言いたいです。 そのおかげで産地でも、お客様 に今後もどう楽しんで頂こうかと頻繁に話題になりました。

さて、今回初めて二名の一般のお客様を連れて産地に買付けに行きました。 買付けを 始めた頃からお客様と一緒に訪問したいと思っていたので、実に十年以上前の希望が叶った わけです。 お二人の様子を見ていると、初めて産地を訪れた時の緊張感や、頭がパンパンになるぐらいの 膨大な経験値、そしてコーヒーに携わる生産者や関係者の人たちの温かい、ふれ合いなどが 大波のごとく自分自身に押し寄せてきた当初の感覚が私にも蘇りました。

全く観光としての参加ではない旨を伝えており、真剣な仕事としての買付けに同行すると いう状況をお二人は理解してくださったおかげで、スムーズに全てのアクティビティが進みま した。 むしろ観光もなく申し訳ない気もしましたが、一杯のコーヒーに隠された裏側の 世界を垣間見ることは、普段の日本の生活ではまず目にすることはありませんし、いち消費者としての視点で全ての工程を見学したということは、とても意味のある旅だったのではない かと感じています。

今回の旅では、より各生産者との会話も弾み、また自宅でウェルカムディナーを用意してくださったりと、至れりつくせりのおもてなしを受けました。 実は今年はニ力ラグアでは過去 最悪となる事態を迎えており、公式な国の発表では三十五から五十パーセントの生産減と なる予想だそうです。 乾季の時期に今までにないぐらいの雨が降り続き、多くのコーヒー の実が地面に落ちたばかりか、収穫作業員達が寒い気候のせいか、働く意欲を失い賃金を 二倍にしても集まらないという事態。

挙句の果てに、ニューヨークの相場が十年ぶりぐらい の下落を見せ、スペシャルティコーヒーとしては売れない、コマーシャルコーヒーの売値が低すぎ て必要経費を下回る、いわゆる売るだけ損になってしまう、踏んだり蹴ったりな状態になっ てしまっているのです。 心中穏やかではないはずの彼ら全員が、毎年来てくれてありがとう、そして內情を理解し てくれてありがとうと伝えてきたことは、心に響くものがあります。