明けましておめでとうございます。 お正月は皆さんゆっくりされましたでしょうか。
 
ミルトンも産地生産者からの直接買付けを始めてから丸十二年が経ち、事業開始の頃と今のスペシャルティコーヒーに対する私の認識は変化し続けています。 今年はミルトン初となる海外進出の年となり、益々チャレンジし甲斐が出てきました。 店舗展開以外にも様々なプロジェクトを進行中でして、その中で私にとってスペシャルティコーヒーとは何かを海外の現地スタッフに聞かれ、その内容を今回は書いてみようと思います。
 
開業当初はまず日本スペシャルティコーヒー協会が定義していた内容を理解しようとし、そこに共感するものが大いにあったので、流行り廃りはあまり考慮せずにスタートした事を覚えています。 干支が一巡すると、あっという間に過ぎ去った時間の合間に、各生産者と我々の関係性も深まり、お互いの人間性、腹の内(笑)やお互いの苦労も理解出来るようになります。
 
これらの経験をした上で、私にとって今のスペシャルティコーヒーとは、素晴らしいコーヒーの味だけでなく、コーヒーの木が育つ山の自然環境から、生産者の全ての手間暇のかけよう、収穫後の丁寧な処理から、そこに従事する労働者全てにおいて含まれます。
 
また、輸入から焙煎、そして抽出に至るまでの専門職としてのポリシーから、お客様がまた飲みたいねと思って頂ける大満足につなげることの重要性も含まれます。
 
もはや、私の中では豊かな風味特性があることは当たり前と認識していて、香りがいいから飲みたくなるし、味が美味しいと感じるから好奇心も沸くし、続けられるわけです。
 
それぞれのコーヒー豆が持つ「豊かな個性」を際立たせる要素、例えば人が安らぎを感じる甘さや余韻の心地よさ、口の中に広がる液体の質感やセンセーション、コーヒーにメリハリや輪郭などもたらせてくれる酸味などは、高い次元でバランスよくまとまっていることがスペシャルティコーヒーを語る上では大前提となります。
 
しかし、消費者が口にして美味しいと感じるまでの過程は決して容易なものではなく、恵みをもたらしてくれる自然と、生産者やロースターやバリスタ、家で実際にコーヒーを抽出する側のの協力と調和があって初めてひとつの持続可能な産業となり、それらひっくるめてスペシャルティコーヒーなのだと実感しています。 この工程のどこが欠けても成立せず、最終工程の私達飲み手が自然と受け入れ、生活の中に根付いてこそ、成り立ち、産業としても続けていけるのです。
 
国内外のお客様にも、この事を知って頂けたら、一口のコーヒーの味わいも、より一層味わい深いものに感じていただけることでしょう。人として自然体で続けられる仕事につけている自分は幸せだなと思いますし、スタッフ達もそう感じながら活動してしているからお店でも笑顔が絶えないのでしょう。