2022年12月より販売開始となる「ラピコナ農園 La Picona」と「エルカンバラッチェ El Cambalache農園」。
どちらもお馴染みのサミュエルさんの農園です。
今日はサミュエルさんを初め、ニアラグアの農家さんたちのちょっとリアルなお話をさせてください。
今年はオーナーの田中も長期にわたり中南米へ買付で滞在することが出来たので生産者たちとも多くの時間を共にし、なんとニカラグアのカップオブエクセレンスのオークション会場へ行くこともできました!
今回からオークションのインターフェースが新装されてリアルタイムでスマホで状況確認ができるようになり、より見易くなりました。
どの生産者達も自分のスマホを見ながら自分のコーヒーの金額が上がっていくのを見守っています。
緊張の瞬間かと思いきや、なかなかのリラックスぶり。
とは言え会場で6、7人の生産者に話を聞くとコロナ禍でのオークションですし、ニカラグアのブランド力の心配もあるので、金額がどこまで上がるのかが、みんなの心配事のようです。
私たちミルトンは、オークションロットに近い品質をいつも輸入しているので、安心して生産者達とお付き合いさせていただいています。
また、継続的なお付き合いのできるロースターと繋がりたいと言うのが彼らの願いでもあります。
今年の品評会ではなんと、全26農園のCOE受賞農園中、2つの受賞農園を輩出したサミュエルさん!
エルカンバラチェ農園、ラピコナ農園、ラエスペランサ農園をメインにコーヒ栽培をしている優秀な生産者です。
不作の年と言いながらもきちんと受賞するあたりハイポテンシャルです。
実はヨーロッパで人気の彼のコーヒですが、日本のロースターにも引き続き使って欲しいし、日本への販売に比重をおきたいと言っています。
ゲイシャを始め様々な品種を試し栽培していますが、私がコロンビアかから持ってきたブルボンチロソの種が彼の農園での今後どうなるかも楽しみです。
ニカラグアのラエスペランサ農園とサンホセ農園は両農園ともCOE受賞歴が多数あり、その高い品質を疑う余地はありません。
隣同士に位置しているその両農園は、生産者同士も頻繁に情報交換をしている仲。
元々はカツーラ種が主に栽培されていましたが、サビ病の影響も大きく、近年の新種の人気ぶりから、カツーラ種の収穫高は年々減っていっています。
さて、コーヒーは種を植えてから収穫できるまで早くて3年が必要で、その間は収穫(=収入)がないので経費ばかりがかかります。
3年後美味しくなければ伐採して次の品種を植えるということになります。
ロースターとして目新しい品種が販売しやすいと考えがちですが、生産者側の利益を本当の意味で考えられたとしたら、今のマーケットドリブンのような動きをロースターは支持しないような気が個人的にはしています。
抽出や焙煎のことも大事ですが、生産者側の気持ちに寄り添う事も同じく大事だと考えます。
COEオークション会場で聞いた生産者達のリアルな声を聞いてとても不安になりました。
「こんなハイリスクで大変なコーヒー作りに未来があるのだろうか?子供には継がせたくない」という声を聞いて私たちも考えざるを得ません。
コーヒーの木は毎年沢山のチェリーが熟し、収穫されるのを待っています。
しかし作業に大変さから収穫作業員は年々減少傾向にあります。
もう何年も前から問題になっていました。
高い賃金でも集まらないのです。
多くはアメリカへ移住し、ニカラグアの家族へ仕送りし始めています。
収穫出来なければコーヒー産業の危機です。
様々な部分で今の世の中の歪みが出てきているなと感じています。
僕たちに出来ることは、生産者の方にも常に目を向けておくということではないでしょうか。生産者が成り立たなければロースターもカフェも成り立ちませんから。
少しシビアな話にはなりましたが、こうして結果を出してくださっている農家さんの豆をより多くの方にお届けすることが私たちの役割ですので、皆さんに美味しく飲んで楽しんでいただけると嬉しいです!