ただ今、毎年恒例の中米ニカラグア・エルサルバドルへ産地買付に来ています。

毎回のことですが、こちらに来てみると世界で起こっている様々な出来事や課題に直面し深く考えさせられます。

少しだけ思いをシェアさせてください。

私たちコーヒー屋さん(ロースター)にとって「これは譲れない」とか「ブレさせたくない事」が何かしらあると思います。

 

もちろん私個人もロースターを始めた身として譲れないものがあります。それは、「絶対に質だけは下げたくない」というもの。

下げる時は辞める時と決めています。創業当初からお客様にも明言しており、常連さんの間では浸透していると思われます。

実はこの「質」というものが、ミルトンでお付き合いのある生産者達が絶対に拘り続けたいと口を揃えて言うセリフなのです。

それも年々気持ちが増していっている事が伝わってきます。それは生産国内での熾烈な競争も影響しているのではないでしょうか。

どこの誰よりも一点でも高いスコアのコーヒーを作り、品評会でも常に入賞できるようになり、それに見合う対価できちんと買ってくれるバイヤーと繋がっていきたいという強い思いがそうさせているように感じます。

また生産国同士の競争も激しさを増しています。これに関してはその国の政治的環境と政府の関わりが大きく物を影響します。

ニカラグアのような国では国を挙げてコーヒーをアピールする事が難しく、スペシャルティコーヒーの団体も明らかに機能不全を起こしているのが現状です。生産者達の力では外国へのアピールは非常に難しいのが現状です。

だからこそ彼らはハングリーなのです。もっと美味しいコーヒーを、もっと消費者の喜んでくれるコーヒーを作ろうと日々挑戦し続けているのです。

全く人気のなかったニカラグアがここまでの知名度になってきたのは彼らの努力の賜物です。ここまで上がってきた質に目を向けているのは日本人だけではありません。中国勢の買い方も半端ではなく年間世界中のスペシャルティコーヒーを買い続け、香港のトレーダー曰く7000コンテナ以上輸入しているそうです。もちろん現地で買付けをしていると話を耳にします。

量だけではありません。買付け時の金額も日本勢より高値で買います。中国勢だけではありません。オーストラリアも積極的に支払い買付けしていますし、アジア圏のバイヤーも同じ状況です。



このままでは一部のロースター以外は格下のコーヒーしか扱えなくなる気がしてなりません。せっかくコーヒーの品質を認めてくださり、ここまで支えてくださったお客様に今まで同様、またはそれ以上の品質のコーヒーをこれからも飲み続けて頂きたい。

そのような気持ちでお店の経営や買付をさせていただいています。 
もっともっと生産国側の実情と世界の動向に目を向け、今すぐに出来ることから始めていく必要があると感じます。