ゲイシャ種。

コーヒーの品種の一つですが、ミルトンコーヒーでも毎年福袋に入れたり、最近は立て続けに販売したりと目にすることも多かったかと思います。

パナマを皮切りに世界中で大人気の品種ですが、ゲイシャ自体も30-40タイプに分かれるって知っていましたか?
タイプ別に番号が付帯しているのですが、全部が同じ味ではありません。それぞれのタイプが異なる土地や微気候によって風味特性を変えるわけです。

収穫後の処理も今ではパナマでは天日干しをしていませんし、ゲイシャの木特有の性質上肥料の内容から散布するタイミング、頻度を他の品種とは変えなければいけません。
農地に苗を植えてから早くて2年目から収穫出来るようになりますが、しっかりと本来の風味を出すようになるには5年はかかります。

美味しくなければ売れませんから、育てたゲイシャも伐採し、新たなタイプや品種に植え替えられます。 なかなかの手間のかかる品種なのです。 値段が高くなりやすいのは特徴的な風味だけではなく、とにかく手間とコストのかかる品種だからです。

数年前にパナマのエスメラルダ農園のゲイシャが脚光を浴びてからというものの、コーヒー好きな方であれば1杯何千円とするそれを口にした方も多いかと思います。が、先に言いましたがゲイシャ種のタイプも多く、更にそれを植える国、もっと言えばテロワールが違うので風味としてどんな仕上がりになるかははかり知れません。実際にミルトンで販売したロスピリネオス農園やエルカンバラチェ農園のゲイシャはどちらもニカラグア産でエウドロさんとサミュエルさんはご近所農園なのですが、違った印象。そして今まさに販売中のエルコロッソ農園はエルサルバドル産で、華やかな感じはパナマのものと通じるものがありますが、やっぱりハッキリ違います。

一度基準を作ってしまうと「これはゲイシャではない(ゲイシャっぽくない)」とレッテルを貼られがちですが、決してそういうことではありません。コーヒーに携わる仕事の方はご存じだと思いますが、ゲイシャといえばこの味!とハッキリあるものではなく、色んな要因で色んな特徴になり得るという前提で、楽しんで頂けたらいいなと思います。好みにあうゲイシャ種に出会ったり、出会わなかったりがありますし一概に美味しい、美味しくないとは言えないかも知れませんね。

さて、昨年のエルサルバドルのフェルナンドリマさんを訪ねた際に、まずは昨年の2021年にCOEで3位のプレジデンシャルアウォードを獲得したゲイシャを見に行きました。初めて植えた時に訪問した時点では、ほとんど枯れかけていていましたが、ゲイシャ種の特徴を勉強し、2度目から全く問題なく育ち、結果90点オーバーで受賞するに至りました。しかも一番素の味が分かるウォッシュドで。
この元の種は多くの皆さんがご存知のパナマの超有名農園からだそうで、100%ゲイシャとなります。来年はコンテストに出品せずに皆さんにかって買ってもらおうかなと、言っていましたよ!

 

写真はフェルナンドさんと次男のアンドレスさん。エルコロソ農園でゲイシャについて説明してくれているところです。

とはいえ、ゲイシャを育てる事自体が難しいと、どこの生産者も言います。特に最初の1-2年は試練かもしれません。
あれ?去年植えてたゲイシャはどこ行ったの?と聞いて、1年持たなくて育ちが悪いからパカマラに植え替えたよ!なんて会話もありました。
実際撮影した場所もきっと苗が死んでしまうだろうと、パカマラとゲイシャのダブル植えをしていましたが、思いの外ゲイシャが育ってきたので、残念ながらパカマラはお役目ごめんで切ってしまいます。
それでもゲイシャが育ってくれて笑みも溢れるフェルナンドリマさん。嬉しそうに話してくれるのが印象的。
フェルナンドさんは今年も新たなエリアにゲイシャ種を植えています。
同じ所に成長の早い木と遅い木を植え、どちらがこの土地に合うのか、どのような味わいになるのかを検証しています。
結果がわかるまでには後2.3年かかるでしょう。

こうやって数年先を見据え、より良いものを作る為に農園に投資をしています。

特にゲイシャ種は利益が出るまでには10年かかるそうですが、
それも楽しみながらやっているとフェルナンドさんは話してくれました。