「カッピング」とは、簡単に言うと「テイスティング」のようなもので、

コーヒーの味を評価するために最も重要なスキルです。

カッピングスキルがないと仕入れの際に正しい評価が出来ず、自分の扱う豆の判断基準が持てません。ということは、仕入れ価格は業者のコントロール下にあるということになります。

ましてやミルトンは直接取引なので正しく点数が付けられないとフェアな交渉ができません。現地では生産者を目の前にしてカッピング、スコア付けをするのですが現地のカッパー達とかけ離れた点数が付いてしまうと交渉上、不利になってしまうということになりかねないのです。

幸い、ミルトンはオーナーが元国際審査員をしていたこともあり、現地のヘッドカッパーと点数がほぼ揃います。そういったことも現地での信頼関係に繋がっているのかもしれません。

さて、これは個人的な楽しみと言うべきかもしれませんが、生産国に行ってカッピングをさせてもらっていると、アメリカやヨーロッパの有名ロースターが購入したコーヒーとお目にかかれます。または大手チェーン店やインポーターのコーヒーもカッピング出来たりします。
あそこはこのレベルを買っているんだと知ることが出来、ハイスコアなコーヒーであればあるほど、そのブランドのイメージと合っていれば、流石だなと勝手に感じるゲームをしています。ちょっとした自分だけの楽しみのようなものです。


ちなみにこれはサンフランシスコのフォーバレル出荷分。他にも幾つか有名どころの名がありました。

いいコーヒーは海外勢は確実に買い付けていますね。
豆もさることながら、焙煎も流石で、ばっちり決まっていましたのでカッピングが楽しかったです。Joaquín さん、どうもありがとうございます!

こちらは先日コロンビア訪問した際のカッピング結果をホワイトボードに書き出したもの。現地で頻繁にカッピングをしているカッパー達、中にはナショナルカッパーもいて彼らとの擦り合わせもお互いにとって大事な仕事だと思います。
ミルトンの採点が右端のTanakaと書いてあるスコア。Geishaが90点オーバー出ました!

コロンビアはメインの収穫期が年に2回ありますが、その合間もちょこちょこ収穫できたりするわけです。家族経営の農園が多いですし、山も急勾配でなかなか厳しい状況での栽培や収穫の作業となります。 

それらを集めてまとまった量を確保しなければなりません。微妙にスコアも違うものをブレンドしてまとまったロットを作るようなものです。ナノロットであれば、混ぜることもないかもしれませんが、1袋ぐらいしかできないかもしれませんので、せめてマイクロロットぐらいまでボリュームを上げてブレンドしてもらう方が現実的です。

とんでもないハイスコアなコーヒーがあればもちろんナノロットでも買い付ける価値はあると思いますがその分値もはります。
まずは正確な品定めが原則必要となります。

 

 このように、生産地では行く先々でカッピングして回りますが、毎度点数をつける時は集中力を切らさないようにしています。特に一日の終わりの回では疲れで目も充血気味の時もありますが、生産者にこの点数がフィードバックされると思うと真剣に向き合いたくなります。

0.5点の差や1点の差がどこに生じたのかも、一緒にカッピングする現地のカッパーと擦り合わせをします。どちらが正しい正しくないという話し合いではなく、お互いの質の捉え方や、点数をつける上での加減を理解し合う感覚で行っています。

カッピング力というのは自分で身に付けることが出来る人でも、第三者のカッパーの意見を聞くことが多いかと思います。小規模農家さんは乾燥を依頼したり、輸出を依頼している場所にカッピングをお願いするケースが多いですが、若い農園主さんは自分でどんどんやろうという方も多く、自身でQグレーダーの資格取ってカッピングして尚且つ第三者にも意見を求めるパターンが増えていくかもしれません。更には今のところは稀なケースではありますがイカワとか使って自身で焙煎までしたいという方もおり、味が取れること(カッピングスキル)の持つ意味を生産国で急速に重要視され始めているのを感じます。