オーナーレター Owner's Letter
生産国に行くから美味しいコーヒーが手に入るわけではない
二月二十日までの二週間、毎年恒例のニカラグアとエルサルバドルのコーヒー農園を巡る旅に出ていました。もう取引する農家は決まっていて、毎年同じ農家の方々から購入しているのですが、ニカラグアの生産者達とは十一年目、エルサルバドルの生産者とは十年目という一つの節目の年となりました。
今回の買付けの旅を通じて発見したのは、生産者全員が消費者であるお客様に一杯のコーヒーの裏側にあるストーリーを知って欲しいと願っていること、そして我々ロースターとの長期にわたる関係の維持をしたいと願っていることです。これまでも同様の話は生産者としてきているのですが、今回は相手側から積極的にこうした話をしてくれました。
そして長年にわたって取引してくれて有難うと何度もお礼を言われたのが印象的でした。「こちらこそ、あなた方がいなくては商売にもなりませんし、おかげ様でお客様に大変喜んでもらっています。感謝の気持ちでいっぱいです。」と伝えますと、こう言われました。「十年前会った時は、単発の取引きかと思い、疑心暗鬼だったけど、毎年こうやって来てくれ、農園の中まで足を踏み入れてくれる。しまいには家族とも打ち解けるようになり、お互いがビジネスパートナーとしてはもちろん、信頼できる友達のように感じています。」 胸にじーんとくる嬉しいコメントでした。
そして彼らが本腰で美味しいコーヒーを作ろうと試行錯誤を続けられたのも、必ず毎年買付けてくれるという信頼があったからだそうで、だからこそ彼らは毎年コーヒーの品質を上げてきているのだと感じます。コーヒーは手を掛けずとも実はなります。しかし、美味しいコーヒーとなると、従来のやり方が通用しません。
偶然その年だけ美味しいコーヒーができる時もあるかもしれませんが、稀ですし、継続性がありません。農園主も、そしてそこで働く労働者のみんなが、やっている作業ひとつひとつを理解し、適正なタイミングで確実に実行していくストイックさも大事になってきます。またその分、手間がかかる =(イコール)労働者への賃金アップや、労働者数の増員も必要となり、同じ量を作るにしても、費用が大幅に増加します。
ニカラグアやエルサルバドルでは、ここ数年の間にコーヒーの木に降りかかる病気や菌類、バクテリアや異常気象の影響などで多くの生産者が農園を手放しています。それらに対抗するべくオーガニック系の薬を撒いたり、コーヒーの木そのものの活力をアップさせる試みも行われていますが、それにも費用が莫大にかかります。資金がない農家は荒れ果てていくばかりの、見るも無残なコーヒー農園を仕方なく後にするわけです。
ミルトンが取引している生産者達が、このような状況下でも続けていけるのは、買付けの単価が高い事にあります。それがなければ手を加えたくても費用を賄えません。お互いの長期にわたるビジネスのためにも、そして支えてくださるお客様のためにも、我々が人としての良心にそった正しいと思うことを引き続き行っていきます。
本音で話す先に発見があり、成長があると信じる
人の意見って大切だと思うんですよね。特に親や身内など心配してくれて発言してくれたり、何か試みてみようと思っている時に、適切に後押ししてくれたり。様々な決断を職場や家庭でしていかなければいけませんが、時には相談も必要ですよね。
人それぞれ意見があるので、賛否分かれるわけですが、賛成の声が大多数だったりすると、なぜみんなが賛成したんだろうと私は考えます。そしてその賛成が、「あっ!いいんじゃない?」といった軽いノリの感覚で賛同したものなのか、体験や経験に基づいて賛成してくれたものなのかを考えます。こうすることで、自分に一旦ブレーキをかけたいわけです。
考えて問題がなければ、とりあえずやってみるのが私のやりかた。反対の声というのは、これも同じように直感のような判断でされたり、時には経験則から反対もされるわけですが、少し困るのは、一般的ではないという理由での反対。私が聞きたいのは一般論ではなくて、相手の考えなので、一般論と一緒に個人の意見も教えてくれると更に勉強になります。常識、または世間というものは曲者で、個人によって内容、対象、範囲など全てが異なりますからね。
賛成とも反対とも言わない第三の意見というのもありまして、日本では波風立てない、本音での意見交換を言い争いと捉え、本音トークを避ける習慣が比較的強くあります。自分の意見を素直に口に出さない人が多いなと感じるわけです。口に出さないけど、思うことはあるのでしょう。あるけど言わないのか、本当に考えていないのかさえもわからない。
これでは会話にならないばかりか、相手の意見だけを聞くだけのずるい人だと勘違いされてしまいます。口に出して解決した方が時間的にも効率的にもいいと思いますし、言わないのは意見がないと思われても仕方ないわけで、結局損をするのは言わない本人(人、組織、国)だったりします。
他人同士、意見が違うのは当たり前だと思うんですよね。それを前提に本音トークをしても、本音で話さない人は、会話自体を放棄していますし、コミュニケーションを大事にしていない人だと私は感じます。会話への本気度合いがそこでバレます。本人のいない場所で陰口を叩く人もいますが、これはもう論外です。
知らないから話せない!ではなくて、知らない事があれば、教えてもらえばいいし、知っていれば仲間と共有すればいい。知らない事を恥じることは全くないです。現に私なんか、コーヒー屋なのに、コーヒーについて知らないことの方が多いですが、それが恥だなんて思ったことはありません。むしろ、まだまだ学ぶことが多くて面白いな~と思うぐらいです。
本音でガツガツ話していける仲間とこれからも成長していきたいですし、その先に私の求めるものがあります。自分の都合の良い時だけ「建前」を盾代わりに生きていくのは程ほどが良いかもしれませんね。特にこれからの世界では。
世の中の全てが思い込みかもしれない!と思う癖
本年も自分の頭の中をズバッと書いていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。さて、この世には大きく分けて、険しい道のりを選ぶタイプと、大勢と共に安全圏で行動したいタイプの人間に分かれると思います。どちらのタイプも必要枠です。私の場合は前者で、皆が向かっている道があれば、私はその道を疑い深く注視し、それが自分にとって最善なのかどうかを見極めた上で道を選びます。
単純に人と違うことをしたいわけではないのです。スタッフや子供を見ていても、安易な決断をさせないようにしています。頭を使わない癖がついてしまうと、周囲に流されるか、人のマネしかしなくなります。「なぜ」それが必要なのか、「なぜ」人はそれを求めるのかなど、事あるごとになぜ・なぜ・なぜと常に考え、考えた結果に基づいて早い段階で行動に移していくことが重要なのではないかと思います。
面白いのは、なぜを繰り返し、物事を掘り下げて考える癖がつくと、様々な本質が見えてくるということです。少なくとも私はそう思っています。本質が見えると、それまでと取る行動自体が変わり、新たな世界が見えてくる楽しさがあります。
営業マンだった頃にベテランの先輩に言われたセリフに、「値引きは頭を使っていない人間でもできる最低の手段だ。価値があるサービスや商品であれば、値引きなど必要ないし、値引きしたらしただけお客から見て価値がなくなっていくぞ!」と教わりました。そりゃそうだ!と二十代半ばの私は思ったわけですが、とは言っても、「なぜ」を考える癖を意識していたわけではなかったので、価値を伝える難しさをその時初めて真面目に考えました。おかげでそれ以降は何の仕事をするにしても、掘り下げて「なぜ」を考えられるようになったので、今に至るまで物事の発想が自分の思うがままにでき、それに基づいて行動もできるので、人生も豊かな気持ちで送ることが出来ています。
正に先輩のおかげです。なぜを繰り返していると、世の中の多くが実は自分が勝手に作り出した思い込みかもしれないと考えるようになります。そう思えてくると、ワクワクの人生は更に加速します。今まで常識でしょ!と思っていたことが、実は違っていた、もしくは別の選択があった!なんてことはザラにあります。例えば、日本人だから日本で教育を受けないといけないとか。例えば、みんなで集まってする会議が重要と思っていることとか。例えば、自身の働き方とか。
前回の続きのようになりますが「個」についてもう少し
私はずっと以前から「個」がとても重要だと考えていて、機会があれば人にもなぜそう思うのかを話してきました。特に個の「魅力」は大事なのではないでしょうか。前回も書きましたが、人間一人で生きていくのはなかなか難しいものですし、人と関わっていくことは長い目で見ても必要かなと思います。ただ付き合う人は選んだ方が良さそうです。何となく付き合いたくない人もいるかもしれませんし、波長が合う合わないもあると思います。それが自然ですし、無理して付き合うものでもないでしょう。
また、個人も「個」ですし、私の会社も「個」です。ミルトンで取り扱うコーヒーの一種類一種類も「個」にあたります。その魅力がとても重要だと思います。個に魅力があれば、人は自然と引き寄せられます。類は友を呼ぶわけですから、それぞれの魅力が増せば、魅力のレベルに合わせた人間が引き寄せられると信じています。私のレベルがどれぐらいのものかわかりませんが、行動や思考が似た人と繋がっている気がします。
スタッフにしても同じですね。ミルトンという個に魅力を感じているスタッフは残ります。美味しいコーヒーを飲みたいお客様にとっては、ミルトンのコーヒーは最良かもしれませんが、そこを求めない方の一部は高い買い物と思われるかもしれません。個がしっかりしていれば、魅力ある「個」同士が繋がり、更に魅力が増しますが、個に魅力がないのに、数だけ集まったって、魅力が増すわけがありません。
人によってどこに魅力を感じるのかは、それぞれだと思います。権力や財力、知名度などに魅力を感じる人もいれば、生き方や考え方に魅力を感じる人もいます。また、自分にはないモノを持っている人に対して魅力を感じるケースもあるかと思います。
ただいま三歳児の子育て真っ最中の私ですが、息子の二十年後を考えても、やはり生きていく力、生きるための武器と術があるとないとでは大違いの人生を送ると思います。そして結局は息子個人の魅力の有無が人生を左右していくのかもしれません。まずは親であり、社長である自分の魅力を磨いてから・・・ですかね。なかなか輝きませんけど。こんな私を支えてくれるスタッフ達とこの一年を支えてくださった皆様に感謝です。それでは良いお年をお迎えください。
どうして芯がぶれないの?と聞かれて
自分自身はそれほど意識しているわけではないですが、人と会話をしていると、「なんかブレなさそうですね」とか、「どうして芯がぶれずにいられるの?」と言われることがあります。
芯があることが良いかどうかは置いておいて、今のように安定した思考になってきたのは、自分にとって大切にしたい案件を考え続けているからかも知れません。自分という人間を確立させるためには、コアとなる思想が必要だと考えています。それが芯に値するのかなとも思っています。
その思想、ビジョンがその時、その時、明確にあるからブレる確率が低くなるのかもしれません。ビジョンがはっきりあるので、どうしたいのか決まっていて、決断も早くできますし、決断が早ければ、行動も早くできるので、迷いなく前進でき、何かと得をするような気がします。言い換えれば、自分を見失っていないとでも言いましょうか。
完璧に自分を理解しているわけではないですが、自分にとって足りている事も、足りていない事もわかっているつもりです。自分が何に影響されやすいか、何が得意か、これからどうして行きたいのか、など細かい部分に至るまで、人に聞かれればパッと答えられます。パッと自分のことを答えられる人とは、話が合うような気がします。
逆にはぐらかされたり、質問の後に沈黙が多い人とは、会話を楽しむこと自体が難しいと感じています。私は、自分独自の思想を創りあげていく過程も楽しんでいますし、一種の哲学のようなものが自分の中に芽生えてきていると感じています。哲学があれば、ない時にありがちな、人のやっていることが気になったり、それを真似する行動自体が無くなります。起業した頃はあれだけ気になった同業者達の動向が、皆無に等しいぐらい気になっていないばかりか、気にする時間がもったいないぐらい、自分でやりたいことが溢れてくるわけです。
私の芯がぶれない理由は、きっと自分という「個」を大切にし、そこから周囲の人にも良い影響が及ぶように考え、動き、それを自分が生まれてきた理由だと信じているからだと思います。「個」よりも「他」を重んじる傾向があると、私の場合は惑わされ芯がぶれやすくなることも理解しています。一人では生きていけませんが、個がしっかりしていない人は、少なくとも私から見て魅力的ではありませんね。
自主的に動けることが大切かなと・・・
今、私は小さくとも会社のトップで部下を持つようになり、今度は部下がどんな人間でどんな考え方をしているのかを考えなければいけない立場に立っています。私の会社では、良くも悪くも私が一番自主性がありますので、少々尖がった部下でも気になりませんが逆に気になるのは、周りの目を気にし過ぎる、協調性主体で動く人間です。
自分で物事が決められず、周囲を巻き込むこともできず、上から言われたことしかできないようでは、その他大勢と同じ特徴のない人間になってしまいます。そうした人材は会社組織の中には、一般的に必要枠として考えられていますが、何事もバランスが重要ですので、1人で行動できないようでは、社会人としてはどうでしょう。
自主性のある人間は、よく自分を理解しています。自分の強み、弱みを理解し、何とかして弱みを克服しながら、強みを活かすことは出来ないか、模索し続けます。私の会社でもそういった部下はどんどん昇進させますし、周囲の同僚にも高いモチベーションという良い影響を与えます。協調性は大切な要素ですが、極端に意識することもないと思います。
なぜなら、仲間と同じ方向に向かっているのであれば、自然と足並み揃えるようになりますし、お互いが尊重し合いながら、自主性を持って仕事に取り組む姿勢が生まれ、協調性は後からついてくるものだからです。皆が同じ目標や価値観を持って仕事をすることは、元の力を何倍にもしてくれます。
自主性があっても、会社内で和を乱す人は協調性がないのではなく、会社や皆と同じ目標に向かえないのが原因でしょう。そういう場合は双方に不利益になるので、退社してもらうこともあり、なかなか難しいところでもあります。自主的に動ける人は、立ちはだかる困難にも負けません。自分で決めたことを行っているわけですから、粘りが違います。
更には仕事の生産性が非常に高い事も特徴でしょう。人に言われて行動する人は、今まで直面したことのない困難には諦めがちになるか、楽な選択をしてしまいます。諦めることも、楽を選ぶことも誰でも簡単にできてしまいます。誰でもできることをしているうちは、人より優れた人にはなれないと私は信じています。
時には流れに身を任せることも大事ですが、惰性だけで生きていくことだけは避けたい。自分の考えや行動に意味があり、自主性を持って何事にも取り組んでいける人材をこれからも育てていきたいと考えています。
提供する側、購入する側お互いのバランスが大切かな
九月の半ばから末日まで、エルサルバドルのリマご夫妻が来日され、ほとんどの日程をご一緒させていただきました。お馴染みのエルミラドール農園とサンパブロ農園のコーヒーを作ってくれている生産者です。
かれこれ十年近い付き合いになります。ニカラグアからもコロンビアからも産地の方々がミルトンに来て下さることが過去にもありましたが、今回はご夫妻のご希望もあり、京都と富士山を訪問してきました。ミルトンがどういった事をストイックに取り組んでいるのかを、産地滞在中には話していたこともあり、来日前から私がコーヒーの品質、味、接客サービスに熱い思いがあることは伝わっていました。その理由が来日によって、よく理解できたと言ってくださいました。
日本の旅館や食事処でのおもてなし、気遣い、細部にまで拘る姿勢、自然を感じながら、生活に溶け込ませる工夫など、特にリマ夫人は「私の理想に完璧なほど近い世界だわ!」と喜んでくださいました。実はコーヒーの買付けをする際に他県のロースターと共に毎年訪れ、その度にお二人には何かと気を遣わせてしまったり、見えないような部分の出費も負わせてしまったりしていたので、私なりにも気にかけていました。
いくら私たちがリマさんのコーヒーを買う側とは言え、彼らが販売してくれなければ、コーヒー屋として皆さんに喜んで頂くことができません。商品やサービスを提供する側と、購入する側の意識レベルを合わせたバランスがとても大切なのではないかと私は考えます。
そして、それは国や文化が違えど、人であればある程度の共通した心地よさと、距離感が存在し、そして何よりお互いに感謝し合うことが心地よさを生み出すと信じています。今回の旅はこれまでのお礼の意味も込めていました。観光は都会を避けました。
京都観光も、少し離れた大原に行き、三千院や勝林院、宝泉院などの庭園と寺を巡りながらお抹茶サービスを受けたり、西陣織会館では着物ショーや着物の試着などを楽しんでもらい、また富士山の麓にある旅館では富士山を眺めながらの客室露天風呂や二万坪以上ある日本庭園を満喫して頂くなど、これまで十年近く産地側で私たちをサポートして下さった事への感謝も込めてご案内しました。
彼らとはドライに言えば、ビジネスパートナーですが、ミルトンと産地の方々はお互いが素晴らしい関係を保ちながら、共通のお客様である皆さんを喜ばせることができればこの上ない幸せと思っています。
スペシャルティコーヒー業界 一般消費者との温度差
地元の山口放送ラジオ番組に度々出演させて頂き、一般的なコーヒーの保存方法から美味しいコーヒーの淹れ方、産地の買付け話などをお話しています。先日もディレクターの方との会話の中で、美味しいコーヒーの選び方のアドバイスは?と聞かれ、考えてみると私もコーヒーのことを知らなかったサラリーマン時代には、何がそもそも美味しいコーヒーなのか分らずに毎度お店で買うときに困ったことを思い出しました。
店員さんの話も良く分からないので、「じゃ~そのお勧めをください」となってしまうわけです。時代はコモディティコーヒーから、スペシャルティコーヒーに完全に向いています。これは一時的な流行りではなく、確実な消費者からの信頼、消費欲に支えられているものです。やや心配なのは、業界人がスペシャルティコーヒー業界に携わっているというだけで、自分自身さえも高い位置にいると思ってしまっていることです。しかも消費者よりも少し専門知識をかじったり、特別なスキルを持つ人ほど、その傾向が強く出ています。偉そうに上から目線で接客は、消費者だけでなく同業者から見ても心地よいものではありません。
正直な話、残念ながら、大げさではなくかなりの確率でそういった専門店店員に遭遇するのが事実です。これは同業者としてみても悲しいし、嫌悪感と同時に将来への不安がよぎります。言い換えれば、それだけスペシャルティコーヒーという時代がまだまだ成熟していないと言えるのかもしれません。やはりお客様あっての商売ですし、消費者に支えられてこその業界でもあります。自身の未熟さと器の小ささをアピールするのではなく謙虚な姿勢で仕事をしたいものです。
スペシャルティコーヒーに時代が移り、バリスタチャンピオンシップをはじめとした様々な大会が開催されるようになりました。祭典も世界中で開催されるようになりました。盛り上がりは年々増していき、今ではアジア人の活躍が目立ちます。そして業界が盛り上がれば盛り上がるほど、一般消費者との温度差が広がっているように感じます。業界内で盛り上がることは良いことですが、消費者に対して更にフレンドリーになると素敵だなと常々思います。
バリスタチャンピオンシップに参加する決意固まる
おかげさまで焙煎やドリップパックの製造が増えており、忙しくさせてもらっています。店の表に立つスタッフ達もそれぞれのレベルアップに努めながら、1人でも多くのお客様に大満足してもらいたいという気持ちで仕事に向き合っているように感じます。
そんな中、キャプテンという肩書を持つ、スタッフの中村が日本バリスタチャンピオンシップに出るという意思を示してきました。そして嬉しそうに私に言ってきます。「大会に出たいとお客様に伝えると、皆さんがとても応援してくれるんです!」と。ミルトンはご存知の通り、世界のロースターの中でもトップクラスのコーヒー豆を輸入し、焙煎、販売をしています。
お店や通販を通じて、ミルトンのコーヒーを飲んでくださるお客様も着実に増えており、皆さんお店自体を応援してくださるのですが、昨今のコーヒーブームのあおりか、スペシャルティコーヒーやバリスタの認知度も増してきており、これだけこだわっているのに、ミルトンさんは大会には興味ないの?と聞かれる事も度々。
そんな中でのスタッフ中村の意思表示でしたので、当然私も全面バックアップすると約束し、出来る限りのサポートを店をあげてすると私も決意しました。私も含め、どこかでエスプレッソの勉強をしたわけでもなく、コーヒーに至っても独学でここまでやってきましたが、一番最初にカッピングという味の良し悪しや風味特徴の判断ができるようにトレーニングを積んだことが、全ての今の基礎となっています。
これさえ体得できれば、エスプレッソ、焙煎確認、産地買付けのテイスティングなど、口に入れる物であれば、品質の確認が間違いなくでき、とても大きな強みとなります。今回の参加を決めてくれた中村は、このカッピングに興味を持ち、根気強く早朝練習を続け、今では私の次に味の取れる人材に育ちました。
ミルトンで取り扱う全ての農園を訪問し、アメリカ視察や日本のカフェ視察も行ってきた二十五歳の彼女が次に目指すところは、日本チャンピオンのようです。とても誇らしく思いますし、これから入社する更に若いスタッフはもちろんのこと、今も一緒に頑張ってくれている他のスタッフ達にも大きな好影響を与えることは明らかです。何年かかるか分かりませんが、きっと日本チャンピオンになってくれると信じています。
一見さんが常連さんに。そして常連さんに支えられる
ミルトンは紛れもなく常連さんによって成り立っているお店です。私の指導するスタッフ教育の中にも、常連のお客様という言葉が度々出てきますし、日々のスタッフ日報の中にも常連さんとの会話の内容が出てきます。当然、スタッフは私がオープン以来、ひいきにして下さるお客様を大切にしたい気持ちを汲んでくれていますし、スタッフ達も接客を通じて、ご来店くださる皆さまに常連さんになってもらいたい!という気持ちで取り組んでいます。
常連のお客様とは、いったい何を指しているのでしょうか。私が描く常連像はお店のまさに「応援者」ということでしょうか。応援と言っても、遠くで成功を祈っています!みたいな事ではなく、お店や通販を利用しながら、店の方針や姿勢から商品やサービスに至るまで、お店の立場を理解してくださるお客様が常連のお客様には多いように感じています。一度のご利用では、お店の良し悪しも、方向性もわかりませんので、お店の立場までは理解できないかもしれませんが、何度かご利用される度に、何かしら感じ取る物があり、いつしか応援したくなる・・・私の理想の常連像です。
応援してくださる方は、混雑時や、新米スタッフの未熟な対応の時も、店側の気持ちも汲んでくれるような配慮をしてくださいます。とてもありがたいことですし、そうして頂けると更に大切にしたいとお店側も思います。また、応援してくださる方々は好みの味ではなかったコーヒーであっても、再度来店してくださり、正直な意見をくださるなど、お客様の気持ちを行動や言葉で表現してくださいます。
厳しいご指摘はまさに常連さんの大切な「声」ですので、反映出来ることならば、我々もなるべく早く行動に移します。面白いことに、お客様の層はお店ごとに異なることは皆さんも感じていると思います。その空気感を作っているのは、何を隠そうお店自体なのですから、どのような常連さんがつくのかは、正にお店次第ということになります。
ミルトンをご利用されるお客様は、やはりこだわりを何かしらもっていらっしゃる方がとても多い! 特に食に関する関心が高いお客様が多いように感じます。安心して美味しく飲めるコーヒーだから・・・、人様にギフトでお渡ししても、とても喜ばれるから・・・、スタッフの方が明るくて会話も楽しいから・・・常連さんから良く聞くお言葉です。お店は全てのお客様に大満足していただけるように日々、最善の努力をするのみ! 最善を尽くしていることを理解してくださる応援者が多ければ多いほど、お店の中身も成長できると信じています。
全社員一丸とならなければ、これからの時代は無理!
なかなか変化が激しいうちの会社ですが、私もマネージャーも今の会社の状態が以前よりも明らかに発展してきているのを感じています。スタッフの人数は増えたり減ったりしていますが、徐々にコアメンバーとして人材が揃ってきているからだと感じています。人の手が多くかかるコーヒー豆の小売業を、いかにお客様に大満足していただきながら、最少人数で拡大していくのかが大きな課題ですが、会社が発展する過程でどうしても離れる者もおり、以前はスタッフが辞める度に多少悩んだりもしていましたが、それは仕方ないプロセスだと割り切れるようになりました。
そして同じ思想を共有できる、発展させることができる者同士が、結果的にその会社を支えることになると思いますし、個々が優秀であればあるほど、発展する規模やスピードが早まるでしょう。この十年間コーヒーの品質から産地との繋がり、販売に関してなど様々な事に取り組んできましたが、スタッフ教育には相当な時間と労力、費用を費やしてきました。
正しいかどうかは分かりませんが、私には誰が何と言おうと働く人によって会社はどうにでもなるとアルバイトや正社員時代から信じていましたので、自分の会社では人事に重点を置いて取り組んできています。このオーナーレターでも人に関する話が多いのもそのせいかもしれません。
社長ばかり懐を温めることはどうかと思いますし、お店を任せている店長に責任負わせるやり方も今の時代には時代錯誤としか思えません。どこか一点に責任を課すよりは、店舗が違っても、部署が違っても全員が会社全体を考えられるようにならなければ、これからの時代はビジネスを進めていけないとさえ思っています。
たとえ新入社員であったとしても、熱血の私と同じくらい熱くなれなければ、ミルトンでは続かないでしょう。そして同じ経営者感覚で働けるスタッフのみ、満足のいく報酬を貰えることがフェアだと思いますし、頑張る人にとっては、頑張り甲斐がある会社と思ってもらえるでしょう。私は、なかなか熱の冷めない熱い男ですが、謙虚さや器の大きさに問題があると認識しています。私は私の課題を克服しながら、スタッフ全員でミルトンを盛り上げていきたいと思います。
チャレンジ、冒険心、ハングリー精神 これらが死語になりつつある・・・
これから世間に羽ばたこうという高、大卒の若者がまず直面するのが就職活動でしょう。ミルトンでも専門学校や高校などに、求人を今年も出す予定なのですが、知名度がないせいか、若い働き手が不足しているところです。とほほ
さて、先日のアメリカで参加してきたコーヒーのカンファレンスでも、二千年以降に生まれたミレニアム世代についての討論がありました。アメリカではコーヒーならなんでもいいという今までの世代の発想から、味はもちろん、ストーリー性や取組みに対して興味を持つ世代がミレニアム世代の若者のようで、そのような若者は、大企業に勤めるよりも、自分をより活かせるベンチャー企業やスタートアップ事業の開始、個人に様々な仕事を任せられる零細企業に勤めたいと思うそうです。
とかく頭のいい優秀な人材ほど、風通しの良い小さな会社に面接に行くようです。そこでとことんやってみて、自分はもっと上にいけると考える更に優秀な人材は転職を繰り返し、進んでレベルアップを図っているとのこと。素晴らしいの一言です! 日本ではあまり耳にしませんが・・
日本ではどうでしょう。今年の新卒就職人気ランキングを見てみますと・・・一位が電通二位がANA、三位が伊藤忠商事、四位がJTBと大手が続いています。調べる前に予想はしていましたが、相変わらずの大企業信仰が強いですね。終身雇用、安心できる老後生活などを考えての大企業選択なのかもしれません。もうどこにも大企業の安定はないことを気付いている大人が多いにも関わらず、バブル崩壊後の親たちを見ている子供たちは余計に安定した職について、苦労したくないと思ってしまうのかもしれません。
中には、昇進しなくていいから、安定した給料が入ればいいと上司に申し出るサラリーマンもいるとか。そのかわり、余計な仕事もしたくありませんと言うらしい。若いうちから将来の夢をしっかりと持ち、それに向かっていく学生時代を送らなければ、大学生になっても、「将来なにしようかなぁ~」と、漠然とした時間を過ごしてしまうことになってしまいます。時は金なり、お金では時は買えないと気付いた時は時すでに遅し。
海外での活躍や成功をイメージしながら計画、実行してみるとか、みんなが右行くなら、私は左に行く!ぐらいのチャレンジ精神と冒険心を持ってもらわないと、海外勢との未来の差は開いていくばかりでしょう。親の背を見て立派になるか、反面教師としか見られず、違う方向に進むか、自分も三歳児の親として、日ごろから意識して生活をしていますが、それにしても今の日本の「でもしょうがないじゃない・・・」感が支配している空気が息苦しく感じます。社の長として、スタッフ達には継続的なチャレンジの大切さと、探求心、冒険心が導いてくれる個人個人の明るい未来をイメージできるように指導し続けてまいります。
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