2026年3月、児玉町本店を訪れたフェルナンド・リマさんとご夫人
2026年3月、児玉町本店にて。フェルナンド・リマさんとご夫人

2026年3月、エルサルバドルからフェルナンド・リマさんご夫妻が、周南市の店に来てくれました。3日間、店に遊びに来てくれました。

壁に貼ってある産地の写真の前に、写っている本人が立っている。妙な感じでした。

東京で会いました

リマさんと初めて会ったのは、2005年の東京です。

スペシャルティコーヒーのイベントに来日されていて、たまたま会う機会がありました。そのときは正直、どういう生産者なのかよく分かっていません。ただ、エルサルバドルの国際品評会カップ・オブ・エクセレンスで何度も受賞していることは知っていました。英語が話せる方だったので自然と話が続き、その後もメールのやり取りが続きました。

その年から、彼のコーヒーを売り始めました。

ミルトンコーヒーが店を開いたのは2006年です。その前は通販だけでやっていました。つまり、店より先にリマさんのコーヒーがありました。

農園に立つまで、3年かかりました

翌2006年、ニカラグアの品評会に参加することが決まっていました。隣の国です。「エルサルバドルにも寄って、農園を見せてもらえませんか」と頼みました。

行けませんでした。私の都合です。

2007年も駄目でした。

実際に農園に立ったのは、2008年2月です。出会ってから3年、彼のコーヒーを売り始めてからも3年が経っていました。

一人からしか買っていません

ミルトンコーヒーは、ニカラグアやコロンビアでは複数の生産者から直接買い付けています。エルサルバドルだけは、リマさん一人です。

理由は3つあります。

ひとつは、品質が安定していること。農業は本来ぶれるものですが、彼のコーヒーは毎年、量も質も崩れません。これは卓越した能力だと思っています。

ふたつめは、誠実だということ。国内最多の受賞歴を持ちながら、それをひけらかしません。

みっつめは、彼一人でこちらの必要をすべて満たせてしまうこと。リマさんは20近い農園を持っています。標高1,800m以上の高地から、600mほどの低地まで。品種も多岐にわたります。

サンタ・エレナ農園のブルボン種、エル・ミラドール農園のブルボン種、ラス・ラデラス農園のパカマラ種。長いあいだ、この人から買い続けてきました。

エルサルバドルの農園でのカッピング。テーブルに並ぶカッピングボウルと豆
産地でのカッピング。毎年ここで、その年に買う豆を決めます。右の方はベテランカッパーのマウリシオさん。

曽祖父が1865年に植えた

リマ家がコーヒーを始めたのは、曽祖父の代、1865年です。日本でいえば幕末です。

長い家族経営の農園に受け継がれてきた伝統的な栽培方法を大切にしながら、新しい生産方法も取り入れていく。その両方をやる人です。ゲイシャ種のウォッシュド処理でコンテストに入賞したのは、その姿勢の結果だと思います。

農園を歩くと、地面が涼しい

エルサルバドルの農園に立つ生産者フェルナンド・リマさん
農園にて。コーヒーの木に囲まれて

彼の農園を歩いていて、いつも驚くことがあります。

シェードツリーが、とんでもない数植えられています。

コーヒーの木を直射日光から守るための木です。もちろん意図的に植えています。農園の中を歩くと、地面のあたりは涼しいくらいです。

これは近年の温暖化への対策として、いまや必須のものになりました。こうした細かい積み重ねが、コーヒーの木の寿命を伸ばし、収穫量を安定させ、品質を確保しています。

持続可能性という言葉がありますが、彼のやっていることは、まさにそれだと思います。

摘み手のカゴは、それぞれ違います

エル・コロッソでは、収穫を4回に分けます。2回目と3回目には、完熟して黒紫色になったチェリーだけを摘む。未熟な実は厳しく仕分けられます。

この作業をするのは、雇われた摘み手の方々です。

リマさんは、通常より高い賃金を払っています。1アロバあたり5.50ドル。「労働者が幸せであれば良い仕事をする」というのが彼の考え方です。一人ずつ名前を覚えていて、話しかけます。

畑で気づいたことがあります。摘み手の方が背負っているカゴが、それぞれ違うのです。自分で使いやすいように手を加えたものを、持参している。言われた通りにやるだけの仕事では、こうはなりません。

そして、ここがいちばん大事なところです。

利益は、まず農園の改善と労働者の住居に使われます。オーナーの取り分は、最後です。

ミルトンは創業当初から、市場価格を上回る価格で買い付けてきました。これまで「生産者を支えるため」と書いてきましたが、正確ではなかったかもしれません。私たちが払ったお金は、リマさんの手元に留まらず、その先まで行っています。

86点以上のコーヒーは、そういう場所から出てきます。

ビジネスパートナーであり、友人です

リマさんもご夫人も、大変な親日家です。お一人でも、ご夫婦でも、ミルトンに来てくださいます。私たちが訪ねるときも、いつも素敵なもてなしをしてくれます。

ビジネスの相手であり、友人でもある。そういう感覚です。

21年です。

出会ったときに売っていたコーヒーを、いまも売っています。あのとき店はまだありませんでした。

いま飲んでいただけるもの

リマさんの豆は、いま以下をご用意しています。

商品ページに、リマさんの写真を載せました。

どれも、この人が作ったコーヒーです。

ミルトンコーヒーロースタリーは、山口県周南市のスペシャルティコーヒー専門店です。
毎年中南米の農園を訪ね、生産者から直接買い付けた豆を自家焙煎してお届けしています。