Producer Story ― El Salvador
百年の木と、
十年先の農園。
フェルナンド・リマ エルサルバドル アパネカ・イラマテペク山系
サンタ・エレナ/エル・コロッソ/ラ・エスパニョーラ/サン・パブロ ほか
約160年にわたって、コーヒーをつくり続けてきた家族があります。
その6代目が、フェルナンド・リマさん。
14歳で農園を手伝いはじめ、コーヒーとともに約50年を歩んできました。

01
受け継ぎ、変えていく
長い歴史のある農園を受け継ぎながら、昔のやり方をそのまま続けているわけではありません。気候や市場の変化を見ながら必要なものを取り入れ、農園そのものが長く続く形に整えてきました。
もともとエンジニアとして働いた経験があり、物事を数字や条件に分けて考えるのが得意です。今は約1,200人の生産者が加わる協同組合で監督委員会の委員長も務め、設備や投資の判断にも関わっています。

02
100年先まで、木を育てる
フェルナンドさんの農園には、樹齢100年を超えて今も実をつけるブルボンの木があります。収量が落ちた古い木は植え替えることも多いなか、肥料や剪定を調整しながら、木が元気なうちは簡単には切りません。
強い日差しからコーヒーを守るシェードツリーも、十分な大きさになるまで10年以上かかります。その間は成長の早いバナナなどを植えて日陰をつくり、木が育つのを待ちます。新しく植えた品種が土地に合うかどうかも、数年育ててみて初めてわかります。
コーヒーは、
10年単位のビジネスです。
― フェルナンドさんがよく口にする言葉
03
化学肥料に頼らない土づくり
2005年のサンタ・アナ火山の噴火をきっかけに、農薬や除草剤、化学肥料に頼らない管理へ切り替えました。以前はオーガニックの認証も取っていましたが、維持にかかる費用が大きく、今は更新していません。
それでも、農園でやることは変えていません。鶏ふんのほか、落ち葉とコーヒーの果肉を発酵させた堆肥を木の間に入れ、土へ還しています。


04
AからZまで、自分たちで見る
2026年に農園を訪ねたとき、品質について聞くと、フェルナンドさんは「AからZまで見る」と答えました。
苗床でどの種を選ぶか。木をどう育てるか。機械がきれいに掃除されているか。精製したコーヒーをどこまで乾かすか。特別な技術ひとつに頼るのではなく、工程ごとの小さなミスをなくしていくことを大切にしています。
収穫期には多くの人が農園に集まります。親から子、孫の代まで働いている家族もいて、年齢を重ねて前と同じ仕事が難しくなった人にも、できる仕事を任せてきました。

Cup of Excellence El Salvador
90.3pts
長く評価されてきた農園
リマ家の農園は、エルサルバドルのCup of Excellenceで長く評価されてきました。古くから育ててきたブルボンに加え、近年はエル・コロッソ農園のゲイシャも高い評価を受けています。
2020年には、エル・コロッソ農園のゲイシャが90.3点を獲得し、プレジデンシャル・アワードに選ばれました。
主な受賞歴
| 2003 | Cup of Excellence 5位サンタ・エレナ農園 |
| 2008 | Cup of Excellence 15位・86.26点ブルボン/ウォッシュド |
| 2013 | Cup of Excellence 5位タイアンダルシア農園 |
| 2013 | Cup of Excellence 6位サンタ・エレナ農園 |
| 2013 | Cup of Excellence 16位・86.00点エル・コロッソ農園/ブルボン/ウォッシュド |
| 2020 | Cup of Excellence 90.3点・プレジデンシャル・アワードエル・コロッソ農園/ゲイシャ |
| 2022 | Cup of Excellence 3位エル・コロッソ農園/ゲイシャ/ウォッシュド |
| 2026 | Cup of Excellence 9位 |


05
日本で見せる、もうひとつの顔
朝早くから働き、そのあとのランニングを欠かさないフェルナンドさん。2026年3月には東京マラソンに出るため、妻のマグダレナさんと来日し、児玉町本店にも立ち寄ってくれました。
率直で判断の早いフェルナンドさんと、穏やかで細やかに気を配るマグダレナさん。店ではスタッフやお客さまと長く話し込んでいました。日本が大好きなマグダレナさんは、自宅に日本から持ち帰ったものを飾る一角もつくっているそうです。
4月に私たちがエルサルバドルを訪ねた際には、自宅に招いてパエリアを用意してくれました。マンゴーやホコテ、マメイを食べ比べながら、農園や家族、これからの仕事の話が夜遅くまで続きました。
フェルナンドさんの農園

06
次の10年へ
今、フェルナンドさんが考えているのは、農園や取引をさらに大きくすることではありません。自分たちのコーヒーを理解してくれる人と、長く仕事を続けること。今付き合っている人たちに、良いコーヒーを届け続けることです。
二人の息子、フェルナンドさんとアンドレスさんには、農園の仕事だけでなく販売や商談も経験させています。100年を超えるブルボンの隣で次の10年、20年を見据えた木が育つように、仕事も少しずつ次の世代へ渡りはじめています。
― Milton Coffee Roastery
フェルナンド・リマさんのコーヒー

























